懐かしき左右非対称2007年05月22日 18:54


一昨日の日曜日、散髪のためにバイクで八ヶ岳の麓まで出かけた。

髪が伸びてそろそろ散髪せねばと思っていたところ、かつて東京に住んでいた頃、お世話になっていた美容師さんのことを思いだした。
その美容師さんは、東京のお店を若い美容師夫婦に譲って、私よりずっと前に長野県に移り住んでいた。

いつかは訪ねてみようと思いつつ、互いに音信不通となって5年は経っていた。電話番号を書いたメモもどこかへ行ってしまい、もうその美容師さんに散髪してもらうこともなかろうと思っていた。
ところが、先週、昔のお店の名前と引っ越した先の地名を入力してネット検索をかけてみたところ、それらしき店のホームページがみつかった。

たった1ページしかないシンプルなページだったが、店の名前は昔と同じ。犬の写真が載っているところと、週に2回も定休日があるところからして、その人の店に違いないと思った。
というわけで、ホームページに記載してあった住所を手がかりに、週末のツーリングがてらに出かけてみたわけである。

東京に店があった頃、私がそこに通っていた最大の理由は”スピード”だった。
最初の頃は確か、20分くらいは時間がかかっていたと思う。それが私の希望でだんだん短縮するようになり、最後の頃は、店に入ってから12分後くらいには店を出ていた。
私は、首の回りにモノが触れているのが大の苦手で、散髪の際に首をタオルなどできつく締め付けられるのが大嫌いだ。そんな私にとって、その美容師さんは救いの神だった。

予約のときも、かなり融通が利いた。たとえ常識的には「予約がいっぱい」のときでも、10分程度の隙間さえできればよかったため、ほぼ希望通りの日時に予約を入れてもらえた。

早いのは、ドイツ仕込みの技術と、独特のセンスのおかげ。
最初はバリカン(大)で大まかなかたちをつくり、最後もバリカン(小)で仕上げる。その中間でしかハサミを使わない。だから早い。
それと、左右非対称が基本のため、左右をきっちり合わせる手間が省ける。だから凄く早い。とにかく早い。

さて、八ヶ岳の麓の別荘地にある、現在の美容室を訪ねてみたところ、やはりその美容師さんがやっている店だった。
数年ぶりの再会も、「あ、カットお願いしたいんですが。」「いいよ。」という軽い挨拶で始まる。
こういうつきあい方ができるのもこの人の良さだ。

前にも後にも予約の客がいなかったため、さすがに昔のようなスピード感はなかったものの、左右非対称は健在であった(いや、これがまたいいんです)。
その後、奥さんがコーヒーを出してくれて、3人で1時間ほど、長野県での「暮らしと政治」について話合った。

聞いてみたら、私が手がかりにしたホームページは最近できたばかりで、アクセスはほとんどなかったらしい。
これも縁というもの。冬場に出かけるのは無理だと思うが、しばらくはこの店に通うことになりそうだ。