マタタビか松茸か2009年10月04日 23:51

 
シケルガイタ様がお抱えになっておられるのは、マタタビの丸太。

これをみつけたのは、辻邦生展のために軽井沢まで出かけたとき、途中で立ち寄った農産物直販所だった。
実は、軽井沢に行く途中でその直販所で休憩したとき、地物の松茸が格安で売られていたため、帰り道にもう一度寄って、松茸を買うつもりでいた。
だが、こいつが、なぜか目に入ってしまったのだった。

蔓状のマタタビの細い枝はみたことがあるが、こんな太いのは初めて。その1000円というお値段は、非常に高い気もしたが、松茸よりは安い。
松茸はみたことはあるが、こんな丸太は今までみたことがない。ということは、これを逃すと一生手に入らないかも知れない(=シケルガイタ様に一生あげられない)。松茸はいつかどこかで買えるだろうし・・・

なぜか、その場でそう考えてしまった私は、松茸に投じる予定だった予算をマタタビに投入することにした。一パック500円のマタタビの実もセットにして丸太を購入し(合計1500円也の散財であった)、帰路についたのである。

で、シケルガイタ様の反応はというと・・・
マタタビの実の方は、2個ほど囓られて"それなりに"お喜びになった後は、すっかり興味を示されなくなった。
丸太については、30分ほどしがみつき、これまた"それなりに"お遊びになったものの、その後はほったらかし。

マタタビか松茸か、という究極の選択に破れた私は、いまさらながら、「両方買う」という選択肢に思い至らなかった自分の貧乏性に呆れつつ、今日も猫たちに翻弄されている。

後日談:8月16日パレルモ初日2009年10月17日 22:24

 
例年通り、今年も夏のシチリア旅行の後日談などを。

実は、シチリア入りした直後、さっそく小さなトラブルに遭遇した。
飛行機を降りて、空港地下の鉄道駅に行ってみると、切符の自動販売機が故障していた。販売機は2台あった。そのどちらもが故障している。
さて、人のいる切符売り場はどこだ? ・・・と周囲を探し回ってみたものの、売り場はなし。

外国人のバッグパッカー数名と私が右往左往している一方で、地元の人たちは、さっさと列車に乗り込んで行く。いったい、どこに売り場があったのか。
そのうち列車の発車時刻が迫ってきてしまった。仕方がないので、列車に乗り込んで行った車掌らしき人を追いかけ、「故障してます。切符買えません。」と訴える。

で、返事はというと、・・・全くそのイタリア語聞き取れませんでした。
が、とにかく言うだけは言ったので、そのまま乗り込むことに。
検札に来たら、そのとき払えばよいと腹をくくり、追徴金を払えと言われたら、故障していたからと駄々をこねようと決めた。

結局、終点のパレルモ中央駅まで検札はなし。列車は満席に近い状態だったが、おそらく切符を所持していたのは、一人か二人だろう。ほぼ全員が切符なしで目的地に到着したのではないだろうか。
ま、FSにはこれまで、たくさん寄付してきたことだし(ギリギリ乗れなくて払い戻し不可になった特急チケットとか)、許してもらおう。
とりあえず、この日は「イタリアに負ける」ようなことはなかったが、前途多難を予想させる出来事だった。

それで、この日は、フェデリコ陛下眠るカッテドラーレが開く前、真っ先に出かけたところがあった。それが写真のCubula。ノルマン朝最後の王、グリエルモ2世の離宮跡である。
ノルマン期に建築されたシチリア王の離宮としては、ほかにZisa、Cubaがあるが、とくにCubulaは超マニアックな人しか来ないであろうところがいい。

その赤い丸屋根は、パレルモ名物であるアラブ=ノルマン様式そのもの。だが、モスクでもなければ教会でもない。
この建造物、用途は何だったのだろうと、見れば見るほど首をかしげたくなる。私としては、雨の日に、ここでバーベキューをしたいところだが・・・。

後日談:8月17日イタリアを信じてみた日2009年10月24日 22:48

 
パレルモからSalemiに出かけた8月17日、この日のスケジュールは厳しかった。
往路は、その名も「Salemi社」の高速バスを利用した。ただ、このバスは乗り換えなしで行くことができて便利なのだが、午後の一本のみ。しかも、これまた一日一本の復路が時間の関係で利用できない。

そのため、復路は全く別のルートをとることになった。
まずSalemiから一日一本のバスでGibellinaの鉄道駅へ行き、終電でパレルモに戻るというもの。事前にネットでこの「唯一の」方法をみつけたものの、実際に帰れるかについては、かなり不安があった。ちょっとしたホームページの記載の誤りとか、バスの遅延とか、突然の運休とか、イタリアではよくある何かが起きると帰れない。Gibellinaあたりで立ち往生した場合には、宿の確保も難しいことが予想された。
当日、「そんなにイタリアを信じて大丈夫か?」と書いたけれど↓、実は全く信じてはいなかった。信じたふりをして、その方法をとる以外の選択肢がなかっただけのこと。
http://ike.asablo.jp/blog/2009/08/17/4523387

さて、Salemiでバスの切符を買おうとタバコ屋に行ってみると、長距離の切符は売ってないから、インフォメーションに行ってくれとのこと。それでインフォメーションを訪ねてみたら、さっきのタバコ屋へ行ってくれと言われた。・・・という、よくあるたらい回しに遭ったため、とにかく切符なしで乗り込むことにした。

それでバス停で待っていると、バスは若干の遅れのみでやってきた。
切符はバスの中で買えた。私が間違って、運転手に多めの小銭を渡したところ、運転手は笑ってこれまた多めのおつりを渡してくれた(お互いにキチンと数えていない)。
バスは順調にSalemiしたが、しばらくして、私は「異変」に気づいた。運転手が、首をくるくると回していて、ちゃんと前を向いていない。それは、○物などが原因でラ○ってる人の動作に近いものがあった。いやいや、それはきっと、その人の持病か何かで、微妙に蛇行はするもののの、運転には大した影響はないのだろう。カーブでバスが反対車線に過剰にはみ出したりするのも、バスがちょっとだけ大きいからなのだろう・・・、たぶん。
さらにバスが進んだ頃、私の前に座っていた母子の母親の方が、突然立ち上がると、私の方をチラと睨んでから席を移動していった。子供を残して。えっ? 私何かしました? と戸惑っていると、その母親、運転席のすぐ後ろに座り、タバコに火をつけた。
よく見てみたら、運転手がタバコ(か何か)を吸っている(首をぐるぐる回しながら)。要するに、全席禁煙のバスに、自主的に喫煙所が設けられたというわけである。

その運転手にGibellinaの街中でバスを降ろしてもらい、携帯のGPSを頼りに鉄道駅を目指した。
駅にたどり着いてみると、例によって、切符の自動販売機が故障していた。というより破壊されていた。
そこで、駅のすぐ隣にある大きなバールに切符を買いに行くと、ここでは売っていないとのこと。300mほど離れたバールで売っていると教えてもらった。その途中には、別のバールがいくつかあった。まあ、事情があるのだとは思うが、どうして駅に近いところで売らないのだろう。
ともあれ、切符を買って駅に戻る。そして列車は、(たったの)20分遅れでやってきた。

そんなわけで、いろんなことがあったけれど、パレルモに無事に帰れましたとさ。