さよならGN2010年08月09日 00:53

 
ピンクナンバーの美学を貫き続けて四半世紀。
しかし、時代の流れには逆らえず、先月、ついに「小型限定」という珍しい自動二輪の免許を返上し、「普通」の自動二輪免許に限定解除した。

それでもって、4年半乗り続けてきたバイクGN125Hも手放すことに。
自然な姿勢で乗れて、軽量な車体は取り回しが楽ちん。両足もべったりと着く。下道を走るには十分なパワーがあって、実燃費は40~45km/hと抜群。
小さな車体なのに座席は広々としていてゆったり座れる。荷物も載せやすい。サイドバッグを載せるとリア・ウィンカーと干渉するのが難点だったが、それは改造でクリアー(写真のとおり、ナンバープレートの位置にウィンカーを装着)。
なかなかいいバイクだったと思う。

ただ、走行距離も1万キロを超え、4年半を経過したため、そろそろ故障が心配になってきた。
普通の正規販売店で買った日本車なら、この程度の走行距離で心配することは全くない。しかし、このGNは中国からの輸入品。70年代に設計されたSUZUKIのバイクを、中国の会社が生産しているもので、東京のバイク店が輸入したものを長野まで運んでもらった。だから、ご近所のバイク店によるサポートは期待できない。一度、走行中にメーターワイヤーが脱落するという、たぶん滅多にないトラブルが起き、ご近所のバイク店に部品を取り寄せてもらったことがあるが、あまりこの手のバイクには手を出したくないようだった。
それは覚悟の上で買ったわけで、エンジンオイルやブレーキオイルの交換、エアフィルターの洗浄交換、ブレーキパッドの交換など、自分でできるメンテは小まめにやってきた。だが、そろそろ専門家の手を借りないと難しい、メンテの項目が目白押しになってきた。ゴム製部品の劣化も激しい。

かといって、別の125ccクラスのバイクに乗り換えることもできない。このGNを買わざるを得なかった4年半前の状況より、今はその難しさがさらにひどいものとなっている。
現在、日本のメーカーが国内で販売している125ccクラスのマニュアルミッション車は、カワサキのオフロードタイプ2種くらいだが、オフロード車に乗るつもりは全くなし。
厳しい排ガス規制をクリアできず、小型のバイクは次々と生産中止。バイクそのものが売れなくなっており、メーカーには小型バイクを新規開発する余裕はなく、125ccクラスは、ほぼ死滅状態にあるのである(その、1リットルのガソリンで40キロ以上走れる小さなバイクが、環境規制のために淘汰され、一方で、燃費の悪い大型車のラインナップが今も充実しているのは不思議な話である)。

そんなこんなで、いつまでもピンクナンバーのバイクにしがみついているわけにも行かなくなった。まだ250ccクラスのバイクが生き残っているうちに、そっちに乗り換えることにした。

いいバイクだったけど、仕方ないよな。できればGNには、せめて90年代、まだこのバイクが日本で販売されていた時代に出会いたかった。

ありがとうGN125H

シングル・アゲイン(その1)2010年08月18日 01:00

 
GN125Hを手放し、新たに手に入れたのはカワサキのエストレヤ。
"Estrella"(=スペイン語で「星」の意)を「エストレヤ」と読むことに関しては、いろいろ言いたい方がおられると思うけれど、すいません、カワサキさんがそう呼んでおられるので・・・。

これで、125ccのシングル(単気筒エンジン)から250ccのシングルになったのだけれど、本当のことを言えば、シングルはあまり好きではない。
確かにシングル・エンジン独特の"鼓動"を好む人は多い。しかし、快適さを求める私としては、それは"振動"であって、不快な要因である。GNで連続して2時間も乗ろうものなら、手が痺れて感覚が麻痺してしまう。

できれば振動が相殺されるツイン・エンジンが良かった。けれど、バイク全盛期の古き良き時代とは異なり、今となっては、250ccクラス以下でツインとなると、ホンダのVTRかヤマハのDS250以外に選択肢がない。
VTRもいいバイクだとは思うのだけれど、その「必ず前傾姿勢で乗りなさい」という感じのスポーティなデザインがどうしても受け容れられなかった。DS250は、逆に足を投げ出すようにして乗るアメリカンタイプで、軟弱なオッサンである私がコレに乗って長距離を移動した場合、腰を痛めることが予想された。

そのため、「自然な姿勢で乗れる」という譲れない条件を満たすバイクとなると、どうしてもシングルを選ばざるを得ず、最終的な候補としては、ホンダCB223S、スズキST250、エストレヤの3つに絞られることになった。
この中でエストレヤを選ぶことになった決め手は、バイクの性能でもなくデザインでもなく、「リアウィンカーの位置」であった。
かつてGNの後部座席にサイドバッグを装着しようとしたところ、ウィンカーにバッグが覆い被さってしまうという問題が生じた。サイドバッグを安定させるためには、前の記事に書いたとおり、ウィンカーを移設する必要があったのである。
その点、エストレヤはウィンカーの位置がかなり後方であるため、大型のサイドバッグであってもウィンカーと干渉することがない。しかも、純正のリアキャリアも用意されているため、その点でも荷物の積載性が優れていた。

もっともエストレヤは、そのデザインが「レトロでカワイイ」と思っちゃったりする女子か、よりカッコイイ外観を求めて改造を繰り返す男子が選ぶものらしい。要は、バイクの性能や実用性ではなく、デザインとかスタイルとかを重視する人たちのためのエストレヤなのである。こいつに実用性を求め、キャンプ用品をたくさん積んで長距離を走ろうと目論むようなオッサンは数少ない。
しかし、今となっては、その18年前に新発売され、その時点でさえ古風な雰囲気をウリにしていたエストレヤは、最新バイクが切り捨ててしまった"旅の道具"としての実用性を(とても密かに)備えている数少ないバイクの一つなのである。

写真は、まだ素のままの、本来の"美形"を維持している頃の、納車後3日目のエストレヤである。
今日の時点ですでに、風防やらパニアケースが装着され、急激な"オッサンバイク化"が進行しているのだが、こうして数日前の"素のまま"のエストレヤをみてみると、あらためてこのバイクは"美しかった"のだと思う。
それを損なってしまって、ちょっとだけ罪悪感を感じるけれど、あれこれと実用性を追求したオッサンバイク化を進行させた果てに、このエストレヤに別の美しさを与えることができたらと思う。