植田正治写真美術館2010年09月05日 22:47




植田正治写真美術館は、もう何年も一度は行ってみたいと思っていたのに、ずっとその機会がなかった。その思いが叶ったのが今回の出雲大社参りだった。
訪れてみて、やはり植田氏の作品のすばらしさに圧倒された。
海外で"Ueda-Cho"と呼ばれる演出写真が代表作だけれど、その「演出」は、これは演出された映像なのだと見た者にはっきりわかる一方で、その演出度はとても控えめで、人物の表情も自然に見える。とかくマスコミに氾濫し、これは演出ではなのだというアピールが鼻につくヤラセ映像に慣れてしまったせいだろうか。もはや植田氏のそれは、「演出」とさえ言えないような気がするほどに清々しいのである。
一方、普通の人がカメラを向けられたとき、カメラを意識して普通に反応するそのままの表情を捉えた一連の作品も、さすがと思う。被写体となった人物が、意図的にカメラを意識しないように振る舞うとすれば、それもまた一種の演出された映像になってしまう。演出写真で名をあげたかと思うと、今度は逆に、カメラの存在を被写体が意識しているという、その場のありのままを写し取るという戦術で行く。なんてカッコイイんだろう。
上の写真は、館内にある上映室の壁に映し出された、その日その瞬間の大山の映像。
反対側の壁には巨大レンズが"装着"されていて、その上映室の空間が、巨大なカメラになっているのだった。この壁と同じ大きさのフィルムか、CCDか、CMOSがあったなら!!!
ま、カメラのことに無関心な方々にとっては、「だから何?」という感じなのかも知れない。しかし、子どもの頃、小っちゃなピンホールカメラに印画紙を仕込んで撮影に興じていた私は、この粋な趣向に、ただただ感動するばかりであった。

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プーリア

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