WM6.5でフレッツ・スポット(レア情報)2012年03月15日 00:10

 
最近、NTTの"FLETS-SPOT"という公衆無線LANサービスが、月額210円で提供されることになった(ただし、この料金設定は他の「光」などのフレッツサービスを契約している人のみが対象)。これがあれば、私がよく出かけるスタバやタリーズでもネットに繋げられる。というわけで、とかく通信費についてはケチな私も、さっそく申込をして公衆無線LANデビューとなった。

ただ、ノートPCの方は当然に繋がるだろうと思っていたが、携帯の方には不安があった。私が使っている携帯(T-01B)のOSは、Windows Mobile 6.5だ。このOSの機種は、確か2010年に発売された3種類ほどしかないという超少数派である。
案の定、申し込み手続きのときにオペレーターに聞いてみたところ、WM5.0やWM6には対応しているけれど、WM6.5には非対応とのこと。そもそもそのオペレーターは、Windows MobileというOSがこの世に存在することすら知らなかった(もっともこの方、フレッツユーザー対象に月額料金が210円に値下げされたことも、工事費無料のキャンペーン中だったことも、登録が必要な機器のMACアドレスが16進数ということも、とにかくいろんなことを知らなかったが・・・)。
まあ、それでも何とかなるだろうと、ノートPCのほかに、携帯のMACアドレスも登録してもらうことにした。

WM6.5の携帯にWM5.0 or WM6用のPPPoEツールをインストールしてみると、写真のとおりにちゃんとインストールもでき、起動してくれた(Standard版はダメだったけれど、Classic、Professional用の方は大丈夫)。
開通日には、予めPPPoEツールにプロバイダのIDとパスワードを入力し、DNSサーバアドレスなどマニュアル通りのセッティングを整えてスタバに向かった。
しかし、実際に繋げようとしてみたところ、画面上はPPPoEツールによる接続が成功している表示になっているのに、メールやWEBが読めない。私の携帯は非対応というNTT側の説明は、どうやら正しかったようだった(普通そうだよね)。

それで、あれこれと携帯の設定をいじくり回してみた。
ワイヤレス・マネージャーのメニューから"Wi-Fi設定"を呼び出し、試しにネットワークアダプターのタブに移動。そこに"PPPoE Connection Adapter"という見慣れない?アダプターが表示されていたため、その"編集"をタップして設定画面を呼び出してみた。見ると、どうもDNSサーバアドレスが、PPPoEツールで指定した通りになっていない。そこで、その画面に所定のDNSサーバアドレスを入力してみた。もしかすると、専用のPPPoEツールだけでは、WM6.5の場合、正しくDNSサーバアドレスが設定されないのかも知れない。

・・・で、Windows Mobile 6.5(T-01B)からFLETS-SPOTに接続できてしまいました。
ときどき、自動接続がmoperaUのままだとインターネットに接続できないことがあり、やってみたことその2は、〔設定〕→〔一般設定〕→〔接続〕の設定タブを呼び出し、新しいモデム接続の追加をしてmoperaUではない設定にしたりしたこと。
その後、何カ所かのスタバ、タリーズで試してみたが、今のところ順調にネットに接続できている。

とりあえず今は、何が原因で接続できるようになったのかは不明(そのため、あえてマニュアル的な書き方はしていない)。
しかし、これだけは言える。難しいけれど不可能ではない、ってこと。だから、適切なセッティングは自分で見つけるという覚悟があり、通信費を切り詰めたい方はチャレンジしてみてはどうだろう。
忘れ去られた過去のOSとはいえ、WM6.5もなかなか使えますゼ。

【後日談】料金メーターのないタクシー2012年03月22日 01:36

(2012月1月3日:Reggio di Calabria)

イタリア入りの初日、レッジョ・ディ・カラブリアの空港からホテルまでの移動には、タクシーを利用した。いつもだとバスを利用するのだが、夜遅くだったために安全策をとることにした。

空港の建物を出て、TAXIの看板のあるところに行ってみると、タクシーが2台ほど停まっていた。しかし、運転手の姿がない。しばらく辺りを見渡してみたところ、駅員風というか、交通関係の職員によくある服装をした男性(紺のジャンパーを羽織っていてベストを着用している)が、私に"TAXI?"と聞いてきた。頷くと、道の向こうに停まっている車を指さして、運転手に声をかけてくれた。そちらに乗れとのこと。

で、運転手に荷物を車に載せてもらい、後部座席に座ったところ、その直後、なぜか助手席に女性が乗り込んできた。「なに? 乗り合いタクシー???」と一瞬思ったが、その女性はどうやら運転手の奥さんらしかった。何のことはない。その車は正式のタクシーではなかったのである。見渡せば、どことなく"生活感"溢れる車内であった。

走り出すと、その奥さんがいろいろ質問を向けてくる。中国人か、仕事で来たのか、明日はどこへ行くのか、レッジョには何日いるのか、レッジョを出たらどの街に向かうのか等々。
この2年くらいは全くイタリア語を勉強しておらず、そんな簡単な質問にさえも、とっさには答えられない。記憶の片隅から単語をひねり出しつつ、非常に苦労しながら受け答えしていたのだが、次第に質問の意図がわかってきた。どうも、その会話の趣旨は、明日以降も(彼らにとっての)格安の料金でこの車を利用してみてはいかが? というお誘いなのである。
ただし、あからさまには明日もこの車に乗れとは言って来ないし、強引な態度は全くない。その筋のプロとは違う素人っぽさが感じられた。
これは推測でしかないが、奥さんは空港の職員で、毎日ダンナが車で空港まで迎えに来ているのではないかと思う。そのお迎えのついでに「客」を乗せ、小遣い稼ぎをしている、というのが私の推理である。

鉄道路線は、空港の敷地を沿って走っており、利用客の利便性を考えるという(資本主義的な)「普通」の発想からすれば、空港駅がとっくの昔にできているはず。駅がつくれないにしても、空港と街の中心部を結ぶ直行バスを走らせて高めの料金を取る、というのが「普通」のやり方だが、そんな直行バスすらない。ある意味、そういう状況につけ込んで稼いでいるのが、私が乗った"タクシー"とも言える。
また逆に、駅も直通バスもないのは、正規不正規を問わず、彼らタクシー業の存在を考慮してのことなのかも知れない。

そんな料金メーターの付いてない"タクシー"に乗っていると、飛行機に乗れるほどのカネを持ってるのなら、電車だのバスだのというケチなことは言わず、だまって運転手付きの車にサッと乗り、金を落としてくれればみんなハッピーになれるじゃないか、という「南」の声が聞こえた気がした。

到着早々、事前に料金の交渉もせずにそんな車に乗り込むという失敗をやらかしたわけだが、その「南」の流儀に触れ、なんだかワクワクしてしまった。ルール無視のデタラメさと、生きるためのマジメさとが渾然一体になっている感じ。それが体感できなければ、そんな場所を旅する意味なんてないわけだし。

【後】連携プレー?2012年03月26日 22:03


(2012月1月4日:Vibo Valentia)

Vibo Valentiaという街は、鉄道駅(Vibo-Pizzo)からかなり離れており、しかも高台にある。歩くのは端から無理とわかっていたため、バスの時刻表をネットで事前に調べておいた。
列車を降りると、さっそく駅のBarへ向かった。そこでバスの切符を売っているに違いないと思ったからだ。
ところが、バスの切符はありますかと尋ねると、Barのおばさんが首を振る。バスなら100メートル上だとのこと。
礼を言って坂道を100メートルほど上がってみると、街道沿いに一軒家のBarが建っているのが見えた。なるほどここか、と思ったのだが、近づいてみると店内の明かりが点いておらず閉店中の様子。かといって、周囲には店舗のような建物はない。
仕方なく、しばらく街道を行ったり来たりしながらバス停らしきものを探してみたのだが、バス停の標識も見あたらない。

どうしたものかと、その街道沿いのBarに戻ってみると、店のドアあたりにお店の人らしき姿があった。急いで声をかけてみたところ、街道に停めてあった普通の乗用車に案内された。街まで15ユーロとのこと。
で、城まで15ユーロで連れて行ってもらった。バスのことはいろいろ聞いてみたのだが、結局、何だかよくわからない答えばかりだった。

さて城の観光を終えると、街を貫く真っ直ぐな道(写真)を下ってみた。この道は、フェデリーコ2世が城と街を再建した頃から存在するらしい。
道を歩きながら、駅まで戻るためのバス停を探したのだが、なかなか見つからなかった。バス停だけでなく、走っているバスすら見つけられない。
ならばタクシーを拾おうと、とある広場で「TAXI」の看板をみつけ、しばらく待ってはみたものの、看板の周囲には普通の乗用車が駐車されていて、タクシーが来る気配も全くなかった。
それで、旅行会社のオフィスに入り、バスの切符を買いたいと言ってみた。すると、広場の隅にあるタバッキに行けと言われ、そのタバッキでバスの切符を買い、バス停も場所も教えてもらった。

そのバス停に着くと、そのバス停前に車を停め(なぜかバス停に向かって縦に停めていて、ものすごく邪魔)、携帯で話中のオッサンがいた。何だかエライ剣幕で携帯に向かって叫んでる。
ところが、私の姿を見るや否や、携帯を切ってこっちに駆け寄ってきた。何となく面倒くさい予感がしたが、その予想通りの面倒くさい相手だった。いきなり20ユーロだと言って、私の背中に腕をまわして車に乗れとおっしゃる。
来るときの登り坂で15ユーロだったため、高過ぎるから10ユーロにしてくれとゴネてはみたのだが、普通は25ユーロのところ、本日限りの20ユーロへのディスカウントなのだと仰る。
そうやっていても定刻をだいぶ過ぎてもバスが来る気配はなく、結局20ユーロで駅まで連れて行ってもらった。段ボールの板を車のシートに置き、座布団がわりにしているユニークなオッサンだった。

こうしてタクシーじゃない車を有料利用することになった一連の流れを振り返ってみると、私は"必然的に"利用することになった気がする。彼らが、私が現れるであろう場所(Barやバス停)を事前に知っており、そこで待ち構えていたような気がしてならない。
つまりは、こういうシステムではないかと思うのである。私がバスに乗ろうとしていろんな人に切符売り場やバス停の場所を尋ねる。そうすると、私が尋ねた相手の誰か、またはその周囲で会話を聞いていた人が彼らに連絡し、車をまわして待っていてくれる・・・。

四半世紀前にイタリアを初めて旅していた頃の私なら、きっと腹を立てていたと思う。
でも今は、旅人に不便をかけないための便利なネットワークだと思えてしまうから不思議だ。