後日談7・HOTEL REGIA 7時5分のサービス ― 2009年01月11日 01:55

プーリア最後の夜は、トラーニのあこがれのホテル"Hotel Regia"に泊まった。
ただ、残念なことに、予算との関係で1泊のみ。しかも、翌朝には7:30頃のローマ行きの列車に乗る必要があった。
それを逃すと、ローマ到着は夕方になってしまう。どうしても寄っておきたい店があったため、"Hotel Regia"でゆっくりとした朝を過ごすというわけには行かなかった。
最後の夜は、生の貝類やホヤなんかを食べ、遅くまで港のバールで酒を飲んでいた。
ホテルに戻ると、フロントにいたおじさんに、翌朝の出発は7時になることを伝えた。そこは4つ星ホテルなのだが、いかにも家族的経営という雰囲気だったため、念のため、早朝からフロントが開いてるかを確認しておこうと思ったわけである。
おじさんが、何時の列車に乗るのかと聞くので、7:30と答えた。すると、おじさんが7時では都合が悪いようなことを言い出した。言ってるイタリア語はほとんど聞き取れないが、とにかく7時ではダメだと言ってるらしい。
私が困ったなという顔をしていると、おじさんが紙にこう書いてくれた。
"7.05"
どうも、7時ジャストではフロントは開かないため、5分待ってくれということだった。
それなら列車にも間に合う。ということで、朝食はなしでもよいことを伝え、部屋に帰った。いずれにしても、私の勘はあたっていた。早朝のチェックアウトはできなかったわけである。確かめておいてよかった。
翌朝は早起きして荷物をまとめ、6:40頃には出発の準備が整っていた。
出発までにはまだ時間があった。せっかくだからと、その残り少しの時間を、プーリアで最もすばらしいベランダで過ごそうと思った。
ベランダに出た初めの時間帯は、まだ辺りは薄暗く、海の向こうに朝焼けが見えていた。それが、ほんの数分のうちに、次第に朝日が昇り、その光が、目の前の大聖堂を徐々に照らし出すようになって行った。刻々と変化して行く大聖堂の姿はあまりにも神々しく、無宗教の私でさえも、思わず合掌したくなるほどだった(その向こうにフェデリコの城が見えたので、さすがに合掌はしなかったけれど)。
ふと、ベランダの下をみると、昨夜フロントに座っていたおじさんが、私と同じように大聖堂を眺めていた。時計をみると、6:55だった。
おや、フロントはもう開いているんじゃないのか? おじさんの説明はガセだったのかな? などと思いながらも、あまりにもすばらしい景色だったため、ぎりぎりまでベランダで過ごそうと思った。
そして7時ちょうど。
予期せぬことに、大聖堂の鐘楼の鐘が鳴り出した。それは、朝の光が、大聖堂全体にまわった頃だった。
何という劇的な瞬間。何という迫力。大音響の鐘の音を全身に浴びながら、久しぶりに全身がしびれるような感覚を覚えた。名残惜しいという気持ちも手伝ってか、涙が出るほど感動してしまった。
鐘が鳴り止み、正気に戻ってそろそろ下に降りて行こうと思った頃たった。下を見ると、前日の昼間にフロントに座っていたお姉さんがやってきて、玄関先であのおじさんと挨拶を交わしているのが見えた。
フロントに行ってみると、そのお姉さんが大急ぎでパソコンを起動していた。そして、朝食をすぐに準備するからと言う。それならと、私は時計を見ながら、エスプレッソだけいただくと返事した。
そして勘定を済まし、慌ただしく食堂でエスプレッソを飲み、おみやげにと、紙につつんだクロワッサンをもらった。
玄関先まで見送りに着いてきてくれたお姉さんと、そこで知り合いの老人と立ち話をしていた、あのおじさんとに別れの挨拶をして、そして大急ぎで駅に向かった。
駅までの道すがら、私は、昨夜おじさんが書いてくれた"7.05"の意味をずっと考えていた。
おじさんは、7時ちょうどにあの劇的な瞬間が訪れることを知っていて、私を5分だけ引き留めたのだろうか。それとも、いつも5分だけ遅刻してくるお姉さんを待たないと、自分ではパソコンが使えないからそう言っただけだったのか・・・。
きっとそれは、永遠の謎だ。
だからプーリアはやめられないのである。
花束とヌースカムイックネン・黒猫・蒼井優 ― 2009年01月29日 00:04

今週の月曜日、私が今の担当を外れるということで、職場の若き舎弟どもが、いろいろなプレゼントをしてくれた。
写真は、そのときにもらった花束。
それと、ヌースカムイックネン(スナフキン)の図柄が入った皿やスプーンなど。
「魔女の宅急便」のジジ(主人公にお伴する黒猫の名前)の万年カレンダー。
最後に、なぜか資生堂化粧品(女性用)のパンフレット???
あっ、そう。裏表紙に蒼井優さんのポートレートが入ってるわけね。
(切り取って飾るように言われました)
ヌウスカムイックネン、黒猫、蒼井優・・・
完全に私の好みが読まれていることがわかったプレゼントだった。
みんな、ありがとう。花束は黒猫のシケルガイタ様も喜んでおられました。
(ちょっと食べちゃいました)
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