純度100%トマトソース ― 2007年08月06日 20:31

梅雨が明けたせいか、わが家の庭の食料生産量が一気に増えた。
トマトの苗は、梅雨の間に吹いた突風でかなりの茎が折れてしまった。それでも今は、続々と食べ頃のトマトがとれる。そこで昨日の日曜日、庭でとれたばかりのトマトを大量に投入してトマトソースをつくり、スパゲッティにあえて食べてみた。
今回はニンニクも唐辛子も入れていない、トマト100%のソース。ただ食べる直前には、庭のハーブをトッピングして、オリーブオイルをかけた。トマトとハーブとオイルのみの味付けである。
調理用のトマトを庭で完熟させているため、大量につかっても酸味が強くならない。そこで、ほとんどこのトマトの味だけで押し切るという作戦で臨んでみたわけである。
これはうまかった。ときどきイタリアで出くわす、非常にシンプルなトマト味スパゲッティに近いものができた。
数週間前には、ニンニク、唐辛子、アンチョビ、黒胡椒を入れていたが、次第にアンチョビや黒胡椒が省略されるようになり、ついにニンニク、唐辛子も抜きになった。
工夫を重ねる途中で、庭に生えてるものだけでできたトマトソースをつくりたい、というこだわりが生まれたせいでもある。
それならいっそ、プーリアあたりにでも移住して、オリーブの木なんかも何本も育てちゃったりして、全部自家製のパスタでもつくるか・・・と、冗談で女房に言ってみたわけだが、・・・何も返事してくれなかった。
だから、冗談だってば。
雁木(ポルティコ)の街にて ― 2007年08月31日 23:48
今週はずっと出張中だった。新潟県上越市の高田という街に、連続泊まり込みの仕事。かなり疲れたけれど、今日で一段落となった。
この地方では、家々の軒先に「雁木」(がんぎ)と呼ばれる屋根が伸びていて、歩行者はその下を歩くことができる。昨日は、その雁木が連なっている「雁木通り」を歩いてみた。高田の街は、日本で最も長い雁木通りを誇る街なのだそうだ。
このところ、今週はずっと毎日雨が降り続いていたわけだが、この雁木のおかげで、傘を差さずともほとんど濡れずに済んだ。
豪雪地帯であるこの界隈では、雁木は冬にこそ威力を発揮するようだ。聞いたところでは、この雁木の下の歩道は私有地とのこと。雪国ならではの助け合いの精神らしい。道に雪が降り積もっても、みんな雁木の下を歩くことができる。
それと、二階の屋根の雪下ろしにも便利なのかも。雁木の上に、二階の屋根に登るための梯子を常設している家が多かった。
はじめて車でこの街に入ったとき、この雁木通りのあまりの古さと、梯子が立ち並ぶ光景にいたく感銘を受けた。いずれ時間をつくってカメラ散歩をしなければと思ったが、最初のうちは日中の仕事にくたびれ果ててしまい、あまり外出する気持ちになれなかった。それでも昨日は、小一時間ほど、カメラを提げて古い街並を散策することができた。
やはり、車ではなく実際に歩いてみなければ、この街並みの古さと味わいは実感できないと思った。むちゃくちゃ古くて、観光客向けの整備があまり行われていないところがいい。
雁木には、時代遅れの看板と時代遅れの商売がよく似合う。一方で、この古びた街並みの狭い道に、唐突に出現するガソリンスタンドがまたよかったりする。ガソリンが私たちにとっての必需品である以上、スタンドもまた、古い街並みに共存していてもおかしくはない。古びた雁木と、ガソリンのブランドの文字が書き込まれたスタンドの屋根が、うまく接合されて連続した屋根になっているあたりに、街の歴史の底力を感じた。
夕刻の繁華街では、雁木の下に、客引きの男たちと、携帯で得意客にメールを打つのに熱中しているお姉さんたちが並ぶ。一方、繁華街をはずれると、街灯は暗く、雁木の下の歩道の段差やら側溝やらで躓きそうになる。
聞くところによると、ミートソース・スパゲッティが名物の、とあるイタリアの街にも、これと似た「雁木通り」があるらしい(だから、このブログの常連さんたちには、”木造ポルティコ”と呼んだ方がわかりやすいのかも知れない)。
実は私も、最初は「おおっ、ポルティコだ」「今日はポルティコの下を歩いてきました」とか言っていたわけである。そしたら、出張先の方から「それ雁木ですよ」と言われてしまった。
なるほど、日本にも雁木という言葉があったのである。こうして日本一の雁木の街と関わった以上、これからは、ポルティコのことを「石造雁木」と呼ぶことにしたいと思う(ボローニャは「イタリアの雁木通りの街」と命名)。
最近のコメント