後日談9・実地研修2006年11月28日 20:01


今回の旅行では、バーリでレンタカーを返し、ポリニャーノまでは鉄道で移動した。ポリニャーノは特急クラスの列車が停まらないため、通勤などにも利用される普通列車に乗った。

で、その通勤用の列車なのだが、ものすごく違和感のあるピカピカの新車だった。
落書きがされていない。白い。ドアがサーッと開く。照明が全部点く。座席が破れてない。ゴミが床にこびり着いてない。どこも壊れてない・・・。
しかも、運転席のドアが開いていて客席から丸見えだったのだが、仰天するようなハイテク風の操作系! 大きな液晶パネルがあって、いかにもコンピューター制御で動いてますという感じである。
何かその、東京の、郊外の、新しく開通したばかりの新線に乗ってしまった気分だった。

これでは「南」ならではの旅心も何もあったものではないわ、と嘆きつつ、ピカピカの座席に座って発車時刻を待った。
バーリが始発だったため、私が乗り込んでから発車時刻までは、まだ10分近くあった。ところが、座ってからまもなくドアが閉まり、列車が走り出した。時計を見ると、定刻より5分以上早い! ホームでぶらぶらしていた人たちの度肝を抜く緊急発車であった。いやいや、せっかちな日本の都会だって、定刻前に発車したりしない。いくら車両がピカピカだからといって、それはやり過ぎだろ!

と思って運転席の方を見たら、右に座ってる方の人が操作パネルのどこかに触って、すぐに列車を停車させた。
そして、またドアが開いた。
見ると、運転席の左に座っている方の人が、よくわかったという風に何かうなずいている。二人の間には、マニュアル風の書類が置かれていた。つまり、右側の人が左側の人に、この最新鋭機の運転方法を教えていたようなのである。実際に車両を動かしながら(何とわかりやすい教授法だろう)。
これを日本でやったら、いろんな方面からこっぴどく叱られるだろうな、と思いつつ、ツールは最新型であっても、決して「南」マインドを忘れていなかった運転手さんたちに安心感を覚えた。いや、乗客としては安心しちゃいけないか・・・?

その後、列車は無事ポリニャーノにほぼ定刻通りに着いたけれど、最後までどっちの人が運転しているのはわからなかった(片方の人は、ついさっき出発するときの操作を習ったばかりなので、運転してないと思う。たぶん)。

コメント

_ POO! ― 2006年11月29日 22:01

>仰天するようなハイテク風の操作系! 大きな液晶パネルがあって、
>いかにもコンピューター制御で動いてますという感じである。

ここを読んだときすでに、「イタリア人に扱えるのか?」という疑問がわきましたが、やっぱりね…。さすがです!

郵便局も民営化されてオンラインになったけれど、それを扱うおやぢ〜ずがついていってないから、オンライン前(PC導入前)よりずっと時間がかかるようになったという話です。

_ aglianico ― 2006年11月30日 12:16

たまりませんねぇ。大笑いでした。私もその列車に乗って、一瞬「え?定刻前に発車っ!?」と焦ってみたかったです。

そんなぴかぴか列車はまたすぐ落書きだらけになるのか、それともぴかぴかが保たれるのでしょうか。
だいたいそんな列車やオンラインシステムの導入を、地元の人はどんなふうに受け止めているのか、興味深々です。

_ ike ― 2006年11月30日 17:51

POOh!さん、aglianicoさん、こんにちは。

>ここを読んだときすでに...
私が感じた「違和感」の中には、今になって思うと、ホントにこの電車走るんだろうか、という疑念があったような。
いっぱいスイッチがあって、液晶にいろんな表示が出てて、とってもむつかしそうでした。

>そんなぴかぴか列車はまたすぐ落書きだらけになるのか、それともぴかぴかが保たれるのでしょうか。
是非、現地でご確認を!

そういえば、ノルト・バレーゼ鉄道のバーリ駅のホームを覗くと、"廃車"置き場のように見えると、どこかに書いた気がしますが、あの"廃車"に乗ったときも感無量でした(ホントに走り出したので)。

_ 駄菓子 ― 2006年12月02日 01:56

POO! さん、はじめまして。
似たような名の方を存じあげていますが、POO! さんは、やはりポー川にちなんだお名前なのでしょうか。

ところて、新型の列車「ミヌエット」は、電車型とディーゼルカー型の両方があるらしく、ここにきてずいぶん増えていますね。

>ノルト・バレーゼ鉄道
今回、バルレッタで再会しましたが、25年前にたまたま車窓から写した車両とまったく同じでした……。

_ ike ― 2006年12月04日 08:59

駄菓子さんが25年前にご覧になった、ノルト・バレーゼ鉄道の車両、きっとまだ新しい状態だったのでしょうね。
でも、あの車両は新車の頃から廃車のように見えた気がします。
それに比べると、ミヌエットはまさにピカピカの新車。あのままスイスまで走って行っても全然恥ずかしくない(笑)。

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