後日談6・歴史的ホテル「コンコルディア」のサービス ― 2006年09月25日 21:15

クロトーネで泊まったギッシングの宿「コンコルディア」は、妙なサービスや変なシステムが多かった。
まずチェックイン時に現金前払い。これはあり得ない話ではないが、一応、星が2つのホテルだったのでちょっとびっくり。
その際、朝食を付けるかどうかを決める。それで払う金額が変わるからだ。私は朝食付きの47ユーロコースを選んだのだが、その場で飲み物のメニューを見せられ、コーヒーか紅茶かと聞かれた。私がカフェラッテを頼むと、宿の親父は、そのメニューに書いてあるカフェラッテの"□"のところにマーカーでチェックを入れた。なるほど、メニューには透明なプラスチックのカバーがしてあって、そこにホワイトボード用のマーカーでメモっておく方式だった。その後、親父は私の希望する朝食の時間をそのメニューに書き込み、おばさんのところへ持って行った。
なかなかおもしろいシステムだった。
その後、部屋に入って、おじさんからシャワーとかエアコンとかの設備について説明を受けた。ここは設備に関しては、電話なし、冷蔵庫なし、駐車場なしという点を除くと充実している。
とくに「充実」していたのは、はMDラジカセ(写真のテレビの向こうにあるやつ)。これは滅多にみられないサービス。おじさん一押しの備品がこれであった。CDもMDも全然用意して来なかったことが悔やまれた。
部屋には、ギッシングとの関わりが書かれた新聞記事の切り抜きが額入りで飾られていた。これを見て、私ははじめてそのことに気がついた。ちなみに、市立博物館には、クロトーネの昔の写真が展示されているが、ギッシングが旅をした時期に近い「コンコルディア」の写真もあった。もっとも、ギッシング自身はこの宿のことをあまりよくは書いていない。
駐車場はどうしたものかと聞いたら、ホテルの前がパーキングメーター方式の駐車場になってると仰る。「だが、それは午後8時まで。」「・・・で、その後はどこに?」
おじさんが「大聖堂前の広場なら、今から朝まで無料だよ。」というので、車を停めに行った。そこは確かに、おじさんの言うとおり、パーキングメーターはなく無料だった。だが、ある種の特殊車両の絵が標識に書いてあった(荷台の上にフック付きの装置がある車)。大聖堂の偉容を目の前にしながら、「もしものときは、あの親父に損害賠償請求」という不謹慎な言葉が浮かんだ。
部屋には冷蔵庫がないため、フロントには飲み物の自動販売機があった。イタリアでは自動販売機自体が珍しいが、それは、おそらく余所では絶対にお目にかかれないと思われる、背の低い不思議な装置であった。
コインを入れると、受け付けられず、コロコロと出てきてしまう。入れるコインを換えて、何度やってもダメ。そのうち、近くのカーテンの向こうからおばさんが出てきて、彼女がコインを入れ直してくれた。不思議なことに、おばさんが入れると正しく作動! 無事に水500ccゲット!
さて翌朝、朝食は部屋まで運ばれてきた。ドアを開けると、宿の娘さんのかわいい笑顔があった。
「朝食です。どこに置きます?」
部屋の方を振り返ると、食事ができそうな唯一の備品であるチェストの上は、テレビはともかく、あのMDラジカセによって占拠されているではないか。そんなこと客に聞かれてもねぇ・・・。
仕方なく、それらを動かして、朝食のトレイが置けるスペースをつくった(結果は写真のとおり)。
でも嫌いじゃないです、この宿(本心)。
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